星の動く音がうるさい

2016年からニート状態。独房の中のように過ごしたい。焦燥感がひどい

大阪大学の大学院入試、不合格の答案

昨日の大阪大学の大学院入試に、落ちたので答案を載せときます。

 

設問(うる覚え…)

客観性について、ある臨床領域においてそれがどのように考えられるべきか論じなさい

 

 

答案

近代以降、出版資本主義が勃興するにしたがって宗教思想は退潮し、神中心の視野から人中心の視野へと世界が降りてきた。魔術から科学へ、一段より一段と、機械的世界観が挙揚されることで、それまで神的全体へ帰没していた現象界が、本来の神姿を失い俗界となった。霊性が失われ、むきだしの物的対象のみが翻転去来してやまない現象界は、極度の実証性においてその実相を把握することが可能となり、再現可能の原則が近似的に成立する自然現象、つまり科学理論内で理論的負荷を負った物的対象の性質のみが「客観性」と呼ばれるに至った。「客観的」観察において、何を正常とし異常とするかの判断基準は、統計的平均に近い標準状態を正常とする「標準的基準」へ宿命的に帰一する。なぜなら科学理論における客観性は、帰納法的に確立した統計の集産にすぎず、全ての「客観性」には例外が存在し、その例外の範囲を限りなく縮小していく科学の発展過程において、例外的対項を排除しつづけることによってこそ「客観性」が担保されているため、標準範囲すなわち客観性として見なされるからである。しかし教育臨床の領域においては、例外を限りなく縮小するのではなく、むしろ限りなく拡大することが重要であると論じる。
教育臨床の領域における「客観性」の最大の問題点は、発見的機能を阻害するという点である。例えば、河合の臨床事例によれば、人前で話すことができないA君を客観的に観察しようとすれば、「呼びかけても応答なし、外界に対して無関心」などと客観的に性格特性が記録されるだろう。さらに客観的に観察しようとして性格検査や知能検査が実施されるが、このような態度で観察者が接すれば接するほど子供はますます発話しにくくなり、言語の応答がないので低知能と断定される。このように、客観的に子どもに接しようとする態度そのものが、子どもに影響を与え、たとえ子どもが潜在力をもっていたとしてもそれを発見できないという。観察者の影響を排除できないのであれば、「客観的」な観察は成立しえない。そもそも心理学における観察の対象は、目に見えない構成概念であることが多く、心理的支援の対象となる心理現象、例えば、A君の「人前で話せなくて苦しい」という苦しさのクオリアは、物理主義以外の平行説、随伴説、立ち現れ説などいかなる存在論によっても科学理論に還元しえないものである。たとえ観察の対象が物理的実体であろうとも、それを把握する観測装置の終端は人の目玉であり、肉袋に開いた2つの穴から外界を覗き見ることしかできない、なぜかこの2つの穴からしか世界を見れないという、視点の装置的制約は、全体を包摂するアメーバ的生命体にはなりえない我々の認識の有限性を意味し、ある観点から「~として」しか対象を把握できない。では科学的観察を放棄して、絶対的な愛情をもって接すればいいのであろうか。しかしそれだけでは危険であり、一言も話さない子供にどう接したらいいかというような具体的な対応方法について何の示唆も与えない。したがって、ある時点で主観的経験を客観化したり、系統的に整理した結果を他に示して批判を仰ぐ必要がある。
このような客観的でも主観的でもない立場であって、初めて発見的機能が活性化する。例えば、先の河合の臨床事例で言えば、人前で話せなかったA君は、教室で飼っているカメの世話をしているときだけは、なごやかな表情をしていたのだが、ある日カメが行方不明となり、教師は授業を中断してクラス全員で探したが見つからない、そのとき突然A君が、「ぼくのカメがいなくなった!」と、初めて声を出したという。予期していなかった偶発性を媒介して、人前で声を出せる力というA君の内的必然性が引き出されたのである。再現可能なものを重視し、既知の法則に従順な客観的観察者であれば、「動物探しによって、人前で話せるようになる」という事象は再現可能な法則とは見なせない、例外的事象であるため、「休み時間に一人で探しに行きなさい」とでも言って偶発性への回路は閉ざされただろう。あるいは逆に「緘黙症の児童には動物を飼わせればいいんですね」などと法則化して操作的に扱えば、一番大切な教師と生徒の信頼感は希薄なままかもしれない。客観的であろうと努力すればするほど主観的になりうる危険性がある。

 

評価

・比喩のいっぱいある、イキり散らした冒頭の文章は、「かっこいい文章だろ」という筆者の恍惚顔が透けて見えるため、減点120点。
・心理学部の入試なのに、心理学の話してないじゃんお前という問題。減点10点。
・肉袋に開いた2つの穴から外界を覗き見るという奇怪な人間観。加点10点。
・つまり、この答案の点数はマイナス120点と推測される。何も書かないほうがいい点数がとれたという採点機序の自滅層が明らかとなった。
・じっさい冗談じゃなく、心理学部の入試で心理学の知識を書かないヤバイやつを排除できたという成果は、大阪大学の院試機構が正常に機能している証拠。
・正直、「発見的機能」というキーワードと、「緘黙症のA君」しか覚えていなかったので、単純に知識量が足らない。

 

今後

・落ちたことを、勤め先の関係者へ説明して、ダメだしを受けないといけないから、気が重い。
・勤め先から許可をいただけたら、また受けたい。許可をいただけなかったら仕事辞めるしかないかな。がんばりやす

 

 

社畜

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関空で食べた。